クジラを捕って、考えた

クジラを捕って、考えた (徳間文庫)

クジラを捕って、考えた (徳間文庫)

南極の海でクジラを調査する半年間の調査捕鯨に同行した著者が、半年間の記録や見たものや聞いた話を通じて捕鯨についての問題を明らかにするノンフィクション。
捕鯨という言葉を聞いてもとくに関心がない普通の人にとっては、日本が捕鯨をしたがっててでも他の国がクジラを殺すのはかわいそうだから反対している、程度の認識しかなかったわけだけども、実際はそんなことはなくて、というかそんなところは重要な論点ではなくて、もっと問題は複雑でいろんな要素を含んでいるというのが読んでいる途中に思ったこと。
で、調査捕鯨船に乗り込んだ著者の目的はもちろん取材なんだけど、一番大きなところはクジラが好きでたくさん見たいっていうところで、それは実は捕鯨に関わる人も反対する人もみんな共通している部分であって。だから著者の視点は商業捕鯨賛成派とか調査捕鯨反対派とかそういうところではなくて中立の立場から読みやすい読み物として書かれています。
というかこの人が書いた小説もとても読みやすかったんだけど、小説じゃないのも読みやすくていいです。