キップをなくして

キップをなくして

キップをなくして

キップをなくして駅から出られなくなった子供達が駅の子としてみんなで暮らしたりする鉄道冒険ファンタジー
ファンタジーというかジュブナイル的な内容なのですが、キップをなくしたら駅から出られないというなんとなく子供のころなら不安に感じていたであろう部分からこんな話を作ってしまうのは発想の違いだなあと感心したりしなかったり。
文体も普段の池澤夏樹の作品みたいにきれいなところはそのままで子供向けみたいな感じになっていて、話の設定もそれなりに都合のいいファンタジーみたいになっているのだけど、子供も読める作品として考えたらそれほど神経質に設定を気にして読む必要はないのかもしれない。終盤では生きるとか死ぬとかに対するひとつのイメージのようなものも書かれるので、そういう部分が大人が読んだら押し付けがましく感じるかもしれません。
まあでも池澤夏樹って感じの空気感は、他の作品と似通った部分があって、けっこう好きです。