どーなつ

どーなつ (ハヤカワ文庫 JA Jコレクション)

電気熊に乗り込んだり自分の頭に開いた大穴に飛び込んだり異星人と戦ったりする話。
北野勇作の本は大抵あいまいなままよくわからないままに話が進んでいくのでぼさっとしていると話がよくわからなくなっていたりするしひょっとするとしっかり読んでいてもよくわからなくなるのかもしれないし、話の中でも自分の記憶と他人の記憶が混ざってみたり書き換えられてしまったりとなっているのでひょっとしたらよくわからないままにそのまま受け取って読んでいくのが一番いいのかもしれない。そんな混濁した話の中でやっぱりノスタルジックな読後感はしっかりと残っていたりして、やっぱり北野勇作だなあという感じの話。
そしてそのよくわからないノスタルジックな読後感は、記憶とかそういうものすら不確かな中で、失われていく記憶をそのままに受け入れて生きていく空虚な感覚からくるのだろうなあ。