地球の長い午後

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

太陽系末期で太陽が膨張を加速し始めるちょっと前くらいの地球では自転が止まってしまっていて永久に昼と夜が入れ替わらない状態で、そんな中でほとんど死んでしまった人間に代わって地球は植物に支配されてしまっている!ていう話。
読んでみて思えば裏表紙のあらすじが実に最終ページまでの内容を表しているような気がしないでもない感じがするんですが、あらすじだけでは中身のすごい想像力には触れられません。
現代とは全く異なった地球なので当然出てくる生物もその環境に適応した奇妙な生物で、読んでても絵が浮かばないような生き物まで出てきたり。で、そういう奇妙生物名を見てて思ったのが、椎名誠の小説はこの本に結構な影響を受けているのかなあ、と。例えば中盤で出てくる飛行する宣伝機械は椎名誠のアドバードを連想させたし、奇妙な生物名は水域で効果的な使い方をされているし。ばかでかい木が出てくる小説もあった気がする。
とにかくこういう、未来に地球を支配するかもしれない想像の中の生物ってのは人の心を引きやすいのかどうか知らないけれど一年くらい前に相次いで発行された(のか復刊されたのかは知らないけれど)フューチャーイズワイルドとかアフターマンとかの図版付き未来生物図鑑みたいなものが売れたりもして。
話自体は冒険小説のような感じで進行していくんだけど登場人物がおざなりに消えてしまったりして(主人公と別れたグループがそれ以後全く出てこなかったりとか、その別れることになった理由も喧嘩別れのようなものだったり)そういう点がちょっと気になったけど、SFを知らない人でもタイトルくらいは知ってたりするだけのことはあるなあというかそれだけの想像力を備えている作品だと思います。